対象疾患・診療内容
対象疾患・診療内容
前立腺肥大症:
まず前立腺の大きさや硬さなどをみるため肛門から人差し指をいれる直腸診で診察します。若干痛みを伴いますが、人の指という優れた感覚器で検査するためがんなど異常な硬さがないかどうかがすぐ判断できる今でも大切な検査法です。これで前立腺の腫れの程度もかなりわかります。腹部の超音波検査では前立腺の内部構造や大きささらに残尿の程度までを調べることができますので、直腸診と超音波検査とでかなりの情報が得られます。
あとは専門的検査として尿の出方を見る検査として尿流量検査、さらに残尿測定を行います。尿の出る勢いをみるのと排尿したあとどれくらい尿が膀胱に残ったかをみる検査です。これらの検査の結果と自分の症状スコア(アンケート用紙に排尿の程度を記載して合計点を出します)から今の前立腺肥大症の程度を割り出しそれにもとづいて治療法を選択します。治療としては薬による治療、手術療法(経尿道的前立腺切除)がありますが、前立腺肥大症の程度と 患者さんの希望にもとづいて決定します。手術する場合の費用は約12日程度の入院で入院費用をすべて含んで自己負担が約20万円程度(3割負担)です。
尿路結石:
腹部や腰の激痛で病院を受診される患者さんのうち尿路結石が泌尿器科の分野になります。外来検査としてはレントゲン検査で結石の有無をみるのが通常ですが、小さな石の場合は単純レントゲン写真ではよくわからない場合が多く尿路結石の疑いとかいう診断で終わる場合が従来は多かったのですが、最近はCTなどでかなり小さな石でもわかるようになりました。費用負担は増えますが、外来で緊急CTを行うことも可能です。尿検査で血尿がでる。また腹部超音波で腎臓が腫れることが診断の根拠になりますので、外来では診察のほか検尿、腹部超音波検査を施行します。昔は尿路結石の治療は開腹手術が主流でしたのでなかなか手術をせず腎臓が悪くなる場合が多かったのですが、最近は体外衝撃波結石破砕術といって体の外から衝撃波を尿路結石に浴びせて結石を砕く治療が主流となりました。高額な機器ですが、当院でも平成6年から行い、ほとんどのかたが副作用もなく治療終了しています。費用は約3日から一週間の入院期間で自己負担約10万円です。やや高いようですが、石の大きさにかかわらず手術費用が同一に設定されているため結石が大きいと割安になっています。
泌尿器科がんについて:
泌尿器科の腎臓、腎盂、尿管、膀胱、前立腺などのがんはそれぞれ頻度は多くないのですが、これらをすべて併せた泌尿器科がんとなるとかなりの頻度になり、最近の泌尿器科ではがんの患者がその他の患者よりもずいぶん多くなり、泌尿器科専門医はがんの専門的知識と経験を積み重ねてきています。泌尿器科の名前のとおりまずは尿の検査で血尿をしらべることから始まります。
【膀胱がん】
比較的多い膀胱がんでは胃カメラのような膀胱鏡検査といういのがあります。実は膀胱鏡検査から内視鏡検査の歴史は始まったといってもよいくらい古くからある検査です。早期胃がんや大腸ポリープでもちいる検査法や治療法はほとんど膀胱の検査治療と同様です。したがって血尿を調べたり、尿の細胞の検査や腹部超音波の検査など痛くない検査を繰り返し行うのも大事ですが、疑いが強ければ膀胱鏡検査をすすめます。
検査自体は自己負担約2千円ほどで、前処置がありませんので外来ですぐ施行可能です。これが膀胱がんの検査としてはもっとも確実な検査になります。
膀胱がんが見つかったら、手術として一番多いのが腰椎麻酔で内視鏡で主手術を行う経尿道的膀胱腫瘍切除術になります。約10日ほどの入院で費用は自己負担約15万円です。まれに膀胱がんが大きく膀胱をすべてとる大きな手術もありますが、その場合は約1カ月の入院で約65万の自己負担です。そうなるまえに受診をすすめます。
【前立腺がん】
前立腺がんは最近急増していますので一番多いと言っていいのかもしれません。前立腺がんのマーカーであるPSAの検査法が確立されたため早期のがんが見つかるようになり、前立腺がんの治療は大きくかわりました。以前は見つかったらほとんど手術できない症例で抗がん剤もきかず放射線による治療にも抵抗し、内分泌療法にも良い薬がないため悲惨な病気でしたが、今は早期に発見され、手術できる病気になりました。手術方法も大きく改善されどの病院でも開腹手術でも最も多い手術の一つとなっています。放射線治療もずいぶん良くなりましたが、十分な放射線量をかけるには高額の機器が必要なためまだ施設はかぎられています。なにより内分泌治療薬の大きな変化もみのがせません。副作用が少なく効果が大きい治療薬がでてきました。注射と内服薬を併用するMABという治療法です。ほとんど治ったに近い状態の人も大勢います。基本的にはがんは早期に発見して切除してしまうのが良いと思いますが、不幸にしてがんが拡がった場合も前立腺がんに限っていえばまだまだ治療法はあります。前立腺がんの検査は2泊3日の入院で約3万円、手術は約3週間の入院で約45万円の自己負担(いずれも3割自己負担)となります。
腎臓のがんや腎盂、尿管のがんなどいわゆる上部尿路の悪性腫瘍も近年増加傾向にあります。腎臓は内視鏡検査が困難ですが、超音波やCTで比較的見やすい場所にありますので、内科で検査して見つかるケースも多く、そういう意味で早い時期にみつかる場合が増えてきました。手術は小さい場合はできるだけ腎臓を残す方法を用いていますが、腎臓をすべてとる手術が大半です。費用は約3週間の入院で約35万円の自己負担となります。