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1) BFH:赤ちゃんに優しい病院って何ですか?

BFHとはBaby Friendly Hospital:赤ちゃんに優しい病院 を略したものです。
1989年3月 WHO(World Health Organization:世界保健機構)・ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、世界のすべての国のすべての産科施設に対して「母乳育児成功のための10カ条」を守ることを呼びかけました。母乳育児成功のための基準は、WHOとユニセフによって、世界のすべての病院に広く紹介されているのです。WHO・ユニセフは、この基準を守って実践する産科施設を「赤ちゃんにやさしい病院」として認定することになりました。
 
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2) BFH:赤ちゃんに優しい病院って、どう赤ちゃんに優しいの?

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当院では「母乳育児を成功させるための10か条」に沿って、母乳育児をすすめています。生まれてきた赤ちゃんは抱きしめられ、おっぱいを吸う権利をもっています。その権利を守ってあげることが赤ちゃんに対する優しさだと思っています。赤ちゃんは言葉を話しませんが、母乳を吸わせ、抱きしめることで母性も父性も育っていきます。そんな親子関係を高める母乳育児を、私達長崎医療センターは)推進しています。
 
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しかし、一方的な母乳育児推進は、両親や家族の不安や、負担を増やしてしまう可能性もあるかもしれません。様々な環境の中、妊娠・出産を決意し、これから育児を行う皆さんと赤ちゃんが自然に笑顔になるように、私達はサポートします。

<母乳育児を成功させるための10か条>
1.母乳育児の方針を全ての医療に関わっている人に、常に知らせること
2.全ての医療従事者に母乳育児をするために必要な知識と技術を教えること
3.全ての妊婦に母乳育児の良い点とその方法を良く知らせること
4.母親が分娩後30分以内に母乳を飲ませられるように援助をすること
5.母親に授乳の指導を充分にし、もし、赤ちゃんから離れることがあっても母乳の分泌を維持する方法を教えてあげること
6.医学的な必要がないのに母乳以外のもの水分、糖水、人工乳を与えないこと
7. 母子同室にすること。赤ちゃんと母親が1日中24時間、一緒にいられるようにすること
8.赤ちゃんが欲しがるときは、欲しがるままの授乳をすすめること
9.母乳を飲んでいる赤ちゃんにゴムの乳首やおしゃぶりを与えないこと
10.母乳育児のための支援グル−プ作って援助し、退院する母親に、このようなグル−プを紹介すること
© UNICEF/ HQ04-0961/Giacomo Pirozzi

3) 母乳育児ってどういったことをするの?

言葉はよく聞くし、育児の話をするのに必ず話題になります。 image04 …と様々なイメージを持っている方もいると思います。
実際にそんな思いを抱えて病院へ来られる方もいらっしゃいます。
出産・育児される皆様にとって、母乳育児とは楽しみでもあり不安の一つであると思います。
 
image05 私達が大切にしたいのは赤ちゃんと母親・家族との絆です。その絆が妊娠・出産・育児を通じてどんどん強くなり、一つの家族となるお手伝いをしています。
その中で母乳の素晴らしさを理解していただきながら母乳育児を勧めていきたいと思っています。

母乳育児と聞いて問題が発生しやすいと思われている方も多いと思います。 image06
 

母乳育児に関する相談窓口

■代表) 0957-52-3121 「産婦人科外来へ」と伝えます

■平日の夜間(17:00~翌朝9:00)及び土日・祝日の場合
 代表) 0957-52-3124
             0957-52-3125 「4B病棟へ」と伝えます
             0957-52-3126

※当院では母乳育児相談にも乗っています。お気軽にお聞き下さい。

4) そもそも母乳って何ですか?

母乳とは哺乳動物が我が子を育てるために分泌する「赤ちゃんに合わせた栄養食」
 
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生まれてきた赤ちゃんを守り、育てるために必要不可欠なもの!!!
哺乳動物がごく自然に営んできたものです。
母乳があったからこそ、育児の成功率は上がりました。
母と子どもが離れられない関係=絆が生まれたと言われています。
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≪他の動物の母乳とヒトの母乳では何が違うでしょう?≫
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大きな違いはタンパク質が少なく、糖質が多く含まれている事です。多くの動物は、外敵から身を守るためすすぐに立ち上がり走ることを覚えます。よって必要なのは筋肉や骨格を作るタンパク質となります。
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人間を考えると立ち上がるまでに1年かかります。その1年間で主に成長するのはです。

脳を成長させるためにヒトの母乳は脳に必要な栄養素=糖質を多く含んでいます。

人工乳にも糖質は付加されています。
しかし消化器官への負担や脂質・タンパク質とのバランスを考えると赤ちゃんに母乳を最優先に与えることは、ごく自然な事のように思います。
 
母乳はその子に合わせた栄養食です!!!

5) 母乳に含まれている栄養素を教えてください

■母乳の主な栄養素
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母乳の中のタンパク質は糖質に比べ少ないと言いましたが、赤ちゃんが成長する中で必要な量は母乳から十分に取ることができます。
タンパク質は固まるカゼインと液体のホエイに分けられます。
固まるタンパク質は消化に時間がかかり、そのようなタンパク質ばかりでは消化器官に負担をかけてしまいます。
なんと、母乳の中のカゼイン/ホエイ比は赤ちゃんの成長に合わせ変化します!!!
生まれてすぐは赤ちゃんが消化しやすいホエイを多く含み、成長するにしたがって固形のカゼインを多く分泌します。
赤ちゃんが何を欲しているのかを出産した母親の体は知っているのです!!!

■ホエイの中に含まれる免疫学的防御因子
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このような免疫力をもつタンパク質は熱に弱く、50℃以上の熱を加えられると形を崩してしまい、効力が無くなってしまいます。冷蔵母乳や冷凍母乳を温める時には気をつけましょう。
100℃の熱湯で作る人工乳には入っていないものばかりです。

■免疫制御物質
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これらは主に赤ちゃんの生活の中で気管や腸管に入り込む細菌や真菌の働きを弱くし、感染防御作用をします。
またビフィズス菌の成長を促したり、腸管粘膜の成熟・成長を促したりしています。

母乳が消化器官に負担をかけず、消化に良い理由がここにもあります。

特に消化器官が弱い早産児には母乳を与えることが治療として行われています。

6) なぜ、自分の母乳ではなくてはならないの?

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その答えは、これら免疫物質を我が子へ渡すためです。
上の表で書いてある分泌型IgAに注目です。
母体の腸管粘膜や気管支粘膜にあるリンパ球は、最近自分の体内に入ってきた細菌・ウイルス・真菌・その他の雑菌を認識し、それらに対する抗体を作る細胞を作ります。その細胞が乳腺に集まり、その場で作った抗体を母乳中に分泌します。
母親は母乳を通して、赤ちゃんが出会う可能性が高い菌に対する抗体を、そのまま赤ちゃんへ与えることができるのです。

母乳を人工的に作ることは不可能です。
今解明されている物質だけではなく、未知なる力を秘めた物質もまだ数多く含まれており、研究が進んでいます。ある研究ではこれら免疫物質の内、数種類を人工乳に足すことを考えると、200~300万円/年もかかるという結果が出ています。
免疫物質すべてが入っており、出産後に分泌される母乳はとても価値ある物です。
ぜひ赤ちゃんへ母乳をプレゼントしてあげてください。

 

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母乳育児とは母子共に楽しむこと、絆を確かめ合うことです。出産してすぐは慣れない授乳に戸惑ってしまうかもしれません。

そんな時には自分・赤ちゃん・助産師・看護師・家族と一緒に何度でも何度でも練習をして、母乳を赤ちゃんに飲んでもらいましょう。

母乳が出ないかもしれない、足りないかもしれない、吸ってくれるかな等の不安や質問がある時にはぜひスタッフに相談して下さい。
一緒に考えて、質問に答えます。

7) 母乳と人工乳の違いは何?

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母乳(正期産・早産)と人工乳の組成の違いを表に表しています。
数字にしてみると大して変わらないように見えます!??
しかし、大きく違うのはその成分の内容です。前記した蛋白質の割合やその中に含まれるオーダーメイドの免疫物質など違うことばかりです。

 
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そして大きく違うのはヒトの母乳かウシの母乳(牛乳)であるか。母乳は母親の血液から作られ、人工乳は牛乳を基本に作られています。

滅菌されていない人工乳は熱湯で作らなければなりません。母乳だって滅菌してない・・・?と言われそうですが、母親の皮膚に付いている雑菌は赤ちゃんを守り、母乳に含まれている免疫も赤ちゃんを守る大切な役割を持っています。

ここで注目!!!

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母乳は産んだ我が子のために、その場で作られます。
表で母乳は項目が細かく分かれています。
正期産か早産か、また日齢でわかれています。
これは母乳の成分がその時によって大きく変化している事を示しています。
この表にはありませんが授乳中にも成分も糖分量もかわるため、味が変わります。

それに比べて人工乳の分け方に変化がありません。自分の生活に置き換えて、食事に変化が欲しいとは思いませんか。

今話題になっている食育の一環として、母乳育児を推進されています。食育が研究されるうちに、母乳育児で様々な味やにおいを経験した児は、選り好みが少なく、野菜や果物を多く摂取することから、母乳育児は食育の中心とも考えられています。