肝臓がんこのページを印刷する - 肝臓がん

診療方針

肝癌には、大きく分けて肝細胞癌、肝内胆管癌、転移性肝癌があります。
肝癌治療には、肝臓病センター (消化器科外科臨床研究センター放射線科臨床検査科) が取り組んでいます。

診療内容

  • 肝細胞癌

    肝細胞癌の治療方法は
     ・外科的切除  ・超音波アルコール注入療法  ・癌部焼灼療法、
     ・血管造影による肝動脈塞栓療法、抗癌剤注入療法
     ・全身抗癌剤療法  ・放射線療法治療  など種々あります。
    同じ状態の肝細胞癌であっても、各科で治療法が違っているというのが現状です。
     肝臓切除も種々の方法がありますが、部分切除あるいは外側区域切除 (左1/4程度の切除)であれば、内視鏡を用いた低侵襲手術を行います。 
     当院では、外科、臨床研究センター (肝疾患センター)・放射線科が緊密な連携をとり (毎週カンファレンスを行う)、患者さんそれぞれに最適・最良の治療を共同で行います。

  • 転移性肝癌・肝内胆管細胞癌

    転移性肝癌は大腸癌・胃癌などからの転移が多いですが、胆管細胞癌とともに外科的切除が最良の治療です。
     当科では、切除不能と考えられる場合でも、門脈塞栓などを行い残存する肝臓の肥大を待って積極的な切除を行っています。
     切除不能である場合は、経皮的癌部焼灼術、抗がん剤治療、放射線治療、胆管ステント留置療法などを消化器内科、放射線科と共同で行っています。

  • 末期致死的肝障害

    肝細胞癌の切除不能例あるいは他の治療が有効でない例、肝硬変・原発性胆汁性肝硬変・先天性胆道閉鎖症などの良性であるが致死的な肝障害例についても積極的な治療を行っています。
     長崎大学・臨床研究センターとの連携のもとに、肝臓移植・人工肝臓治療・肝細胞移植などの最先端医療も展開中です

 

肝細胞癌の治療は外科的切除、ラジオ波焼灼・アルコール注入(内科)、血管造影による治療(放射線科)など種々あります。これらの中から患者さんに最適、最良の治療を提供します。

肝切除では、肝右葉切除・肝左葉切除以外に、肝表面や外側区域(左側の約25%)の病変に対しては積極的に腹腔鏡手術を取り入れた切除術を行っています。肝臓深部や比較的広範囲の切除では腹腔鏡、開腹手術を併用した切除術(ハイブリッド手術)も行います。

肝切除術は他手術に比べ手術中の出血も多く、身体的負担も少なくありません。しかし、当科の肝切除においては、輸血は原則的に不要であり(2003年から500例以上肝切除を行っていますが輸血率1%未満)、追加治療を要する重篤な術後合併症(術後出血、腹腔内感染、術後肝不全など)や在院死亡例はありません。

 
肝癌に対するラジオ波焼灼術(RFA)
2004年4月に保険適用となった治療法です。
肝癌に対するラジオ波焼灼術(RFA)は、現在エタノール局注療法(PEI)に代わって肝臓がんの治療法として注目されています。 
 現在肝臓がん専門病院を中心に行われている治療法であり、ここ数年以内に局所焼灼治療の中心的存在になると考えられています。 
 当院では、平成11年よりこの先進的治療法を導入し、年々その治療件数は増加しています。

診療実績

外科的 治療・診療実績
肝切除症例数
  2011年 2012年 2013年 2014年 2015年
切除症例数 67 72 65 52 56
鏡視下症例数 14 9 16 12
 
肝癌(転移性肝癌含む)  33症例
(平成 27 年 1 月~12 月)
 
内科的 治療・診療実績
 
特殊治療法 症例数 延べ施行回数
経皮的ラジオ波焼灼療術 50 50
肝動脈塞栓療法 140 140
(平成 27 年 1 月~12 月)
 
臨床病期I・IIの肝細胞癌治癒切除後生存率
  • 肝細胞癌治癒切除後生存率
最近5年間の肝細胞癌 Stage I、IIで治癒切除可能であった患者さんの術後成績
 5年粗生存率;81.5%、5年無再発生存率;50.1%