院長挨拶
当院の歴史と病院機能
2022年4月1日に長崎医療センター院長を拝命しました八橋弘です。どうぞ宜しくお願いいたします。
当院は、1942年に大村海軍病院を前身として1945年に国立大村病院として発足しました。今年で創設80年となる歴史のある病院です。さて、当院は長崎医療圏の3次救急医療施設であり、また、がん医療、生育医療、脳卒中やてんかんの脳疾患、肝疾患、腎移植、外傷や創傷などの高度総合医療施設で、災害医療(DMAT派遣)にも対応しています。また当院は、複雑な地形を有する長崎県の中央に位置しており、半径200Km以内に位置する離島で発生した重篤な疾患を有する患者さんをドクターヘリや自衛隊ヘリ等で搬送して適切な医療を提供することで、遠隔地に住む長崎県民が安心して暮らせるように医療の面で貢献しています。
コロナ診療での連携と役割分担
さて、2年前から新型コロナウイルス感染症が世界を席捲しており、長崎医療圏においても多くの方が感染されました。この間、当院は重症及び中等症の患者や様々な合併症を有する患者を中心にコロナ診療をおこなってきました。病院におけるコロナ診療で難しい点は、コロナ診療と非コロナ診療を両立させることにあり、平時とは異なる機能を新たに展開させ、病棟や職員の再編成など病院運営にも機動性を持たせる必要があります。
幸いなことにコロナ患者発生数がピークに達した時においても、県央地域ではコロナ患者も非コロナ患者も救急搬送が断られることなく適切な医療を継続的に提供することができました。これは、当院職員の理解と協力に加えて、長崎県と保健所、周囲の医師会の先生方、周囲の病院との連携と役割分担のおかげと考えています。
患者を守る、地域住民を守る、職員を守る病院
人々が、豊かな生活を営み、すぐれた文化を展開し、人間的に魅力ある社会を展開する為には、きれいな空気や水や自然あふれる環境、交通機関や上下水道、電気とガス、そして教育、医療、司法、金融制度が必要と言われています(社会的共通資本の考え方)。私は、30年以上3次救急病院に勤務してきた経験と、この2年間のコロナ診療の経験から、「病院は、その地に住む人々が安心して暮らす為に必要なもの、無くてはならないものである」、「病院職員は、時間と心に余裕がないと患者さんに適切な医療が提供できなくなる」という2つの思いに辿り着きました。当院は、通常の疾病に加えて、新型コロナなどの新興感染症や自然災害から「患者を守る、地域住民を守る、職員を守る病院」であり続けたいと思います。
教育と臨床研究の病院、人財育成
当院は教育病院であり、JNP(診療看護師)の養成にも早くから取り組み、また高度の臨床研究を展開する病院です。当院の臨床研修は50年以上の歴史があり、優秀な研修医を千名以上育てあげて世の中に輩出してきました。医師だけでなく看護師をはじめとする職員全員を対象とした生涯教育についても熱心に取り組んでいます。病院職員は、「全員診療/全員リサーチ」「エンジョイリサーチ」をスローガンとして、医療人として深みのある人生を追い続け、その成果を患者さんに還元してほしいと願っています。
魅力あるところに人は自然と集まってきます。「人が集う病院、多くの人の夢をかなえる病院、夢ホスピタル」を目指したいと思っています。
独立行政法人国立病院機構 長崎医療センター 院長