M2BPGiは、肝線維化の進展度を予測する新しいマーカーです。【新情報】このページを印刷する - M2BPGiは、肝線維化の進展度を予測する新しいマーカーです。【新情報】

2016年10月25日掲載



糖鎖は、核酸・タンパク質とならぶ第3の生命鎖とも呼ばれ、細胞の分化、癌化など疾患とともに変化することが知られています。日常臨床で最も馴染みのある糖鎖変化とは血液型です。ABO式血液型は赤血球表面の糖鎖構造の違いによってA型、B型、O型及びAB型の4タイプに分類されます。

M2BPGiは、血液検査で肝線維化の進展度、線維化ステージを反映する新しい糖鎖マーカーとして開発されました1)。M2BPGiは2015年1月に保険収載され、その保険点数は200点となっています。慢性肝炎又は肝硬変の患者(疑われる患者を含む)に対して肝臓の線維化進展の診断補助を目的に実施した場合に算定可能で、慢性肝炎及び肝硬変の診断・治療において肝臓の線維化ステージを診断し治療方針の指標およびモニタリングに有用とされています。

一方、慢性肝炎は肝線維化進展度により病理学的にF1、F2、F3と分類され、肝硬変はF4に相当します。C型慢性肝炎の肝癌発生リスクは、肝線維化進展度と相関し、線維化が進展するほど年間肝癌発生率が高くなります。

自施設のC型慢性肝炎症例を対象としてM2BPGiの値を1COI未満、1-2COI、2-4COI、4-8COI、8COI以上の5群に区分して、肝線維化進展度の分布を検討したものが図1です。M2BPGiの値が1COI未満の群では、F0/1の頻度は80.6%でしたが、M2BPGiの値が8COI以上の群では、F4の頻度は78.1%でした。M2BPGiの値と肝の線維化進展度の間には良好な相関関係が認められました2)。

文献
1.Kuno A, et al : A serum "sweet-doughnut" protein facilitates fibrosis evaluation and therapy assessment in patients with viral hepatitis., Sci. Rep. 3, 1065-73 (2013)
2.Yamasaki K, et.al :Elevated serum levels of WFA+ -M2BP predict the development of hepatocellular carcinoma in hepatitis C patients Hepatology 60.1563-1570. 2014.