『肝臓の手(手掌紅斑)』と『くも状血管腫』は改善する【コラム】このページを印刷する - 『肝臓の手(手掌紅斑)』と『くも状血管腫』は改善する【コラム】

2016年12月28日掲載

手掌紅斑、くも状血管腫は、肝硬変患者さんの中でもアルコール性肝硬変患者さんで頻度が高いも、アルコール多飲者、ウイルス性肝炎患者さんでも一過性に現れ、また正常人、特に小児、妊婦、まれに慢性関節リウマチ患者でもみられる。

手掌紅斑、くも状血管腫の肝疾患患者さんにおける頻度は、肝臓病の教科書であるシャーロック肝臓病学第11版によると後者の方が出現頻度が高いと記述されている。当院で311例の肝硬変患者さんに協力いただき、手掌紅斑、くも状血管腫の出現頻度を検討したところ、手掌紅斑は37%、くも状血管腫は29%、両所見ともありは20%の頻度であった。シャーロックの記述とは異なり当院での検討では、手掌紅斑の方が出現頻度が高かった。

この2つの皮膚所見は、肝臓移植例、B型肝硬変の抗ウイルス剤投与例、C型肝硬変で抗ウイルス剤投与後のウイルス排除例では、肝機能の改善とともにその色調は徐々に薄くなり、数年かけて消失する例もある。

(手を見て肝臓病を疑う)、手掌紅斑、くも状血管腫は、肝疾患の存在を疑う診断のてがかりであるとともに治療経過を評価する指標でもある。
 
(文責 八橋 弘)